データ利活用による観光地経営の高度化、面的DXの実現

ちいプラ(地域旅行商品販売プラットフォーム)は、地域OTA(地域型OTA、地域版OTA、観光DX)を実現するためのワンストップソリューションです。オンラインでの宿泊予約とアクティビティ予約とその管理に必要な機能を網羅しています。地域の情報発信、予約、決済、データ利活用まで一気通貫にサポートします。

はじめに

ちいプラのような地域特化型の宿泊・アクティビティの予約システムを運用することのメリットは「顧客の利便性」「業務改善(省力化、品質向上)」だけではありません。これまで大手旅行代理店や個々の事業者に囲い込まれていた様々なデータが「地域」という枠の中で蓄積されていきます。

このデータを活用することで、お客様との関係性の維持・発展、より魅力的なブランディング、企画、データに基づいた観光地経営が可能となります。

本記事では、この「データ利活用」の具体的な方法について記載します。

蓄積されるデータとその活用例

蓄積されるデータ項目内容(一部)活用例
会員お名前、メールアドレス、電話番号、住所、ポイント情報(残高、付与履歴、利用履歴)
分析時は匿名化必須
利用年代、居住地、性別の分布を把握
予約・予約番号
・予約日時
・利用日、利用日数
・予約ステータス(予約中やキャンセル等)
・支払方法
・利用人数(合計・年代別)
・料金(合計・年代別)
・利用者情報(お名前、住所、連絡先など)
・プラン情報
・客室情報
・オプション商品情報
・ポイント情報
・お客様要望
・質問への回答
・予約元サイトなど

※宿泊プランと体験プランでは出力される内容に差異があります。(たとえば客室情報は体験プランでは空で出力されます)
■繁閑情報をもとに
料金設定最適化、業務量平準化、販売促進施策(例.クーポン付与)

■プラン種別や利用時期をもとに
アップセル・クロスセル・・・宿泊利用者にアクティビティをレコメンド

会員データと突き合わせて、、、

■利用傾向を把握(強み、弱点)
年代・居住地・リピート率・消費額等の定量データをもとに、仮説を立案して販売促進政策(プラン内容の見直し、発信先、クーポン付与)など具体的なアクションにつなげる。

ロイヤルカスタマーの抽出
・潜在的ロイヤルカスタマーの抽出→関係を深める施策(サプライズ提供→バッチ付与、限定イベントやアンバサダーへのお誘い。無料アップグレード、手書きメッセージ、現地での写真アルバム)の実施、ふるさと納税ご案内など

■KPI(重要業績評価指標)に活用
事業や施策の評価、ステークホルダーとのコミュニケーション、目標共有

■その他
帳票作成・・・請求書、業務用チェックリスト、各種レポーティング
口コミプラン、評価(定形質問)、評価(自由入力)・低評価の活用・・・改善に直結、丁寧な受け答えで心象アップ
・高評価の活用・・・お客様の感動ポイントの理解(をプラン内容に反映)、地域アンバサダーやモニターへの勧誘
問い合わせ問い合わせ先、問い合わせカテゴリ、タイトル、内容、問い合わせ日時
※一連のやりとりはグループ化されています
予約サイトのFAQや、各プランの詳細説明に反映 → 問い合わせ対応時間減
Webアクセスセッション数、直帰率、閲覧時間、コンバージョン、ランディングページ、参照元サイト、アクセス端末(OS、ブラウザ)など
※Google Analytics 4(GA4)対応

Excelでのデータ利活用

会員データ、予約データは、CSV形式でダウンロードできます。このCSVデータをExcelにインポートすることで上述したような様々な切り口のデータ分析が可能となります。多数の出力項目を持つ予約データは、出力項目、出力並びをカスタマイズ可能です。カスタマイズした結果は最大5パターン(必要であれば追加できます)まで保持できます。

データ分析以外にも以下のような用途で活用されています。

  • レポーティング・・・Escelの高度なグラフ機能により可視化
  • 事業者への請求書作成
  • 業務用帳票・・・日々の作業用チェックリスト

他システムとの連携によるデータ利活用

CRMシステムや会計システムなどは、外部からデータをインポートする機能を有しています。CSV形式でのアップロードが基本ですが、中にはAPIを提供しているシステムもあります。そのようなシステムには、ちいプラからデータを送信することが可能です。

ちいプラは、標準で以下のCRMシステムへのデータ送信に対応します。(2023年のなるべく早い時期を予定)

APIを提供しているシステムであれば連携機能の開発が可能ですので、ご相談ください。(ちいプラが保持するデータと親和性が高く、利用者が多いシステムであれば無償で対応いたします)

Hubspot CRMについて

無料で利用できるSaaS型のCRMシステムです。世界中で活用されています。

面的DXと地域共通アプリ

観光庁の「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」には、2023年度から「面的DX」がメニューに加わりました。

面的DXとは?

面的DXとは何でしょうか?同サイトの「面的DX化公募の手引き(PDF)」に詳しく書かれていました。

面的DXの前提・・・面的にデータを連携をするために各事業者の業務のデジタル化を推進 すること
面的DXの目的・・・面的なデータを活用し、地域がデータドリブンな観光地経営 を行うことで生産性を向上させ、「稼ぐ力」を強化すること

さらに、面的DX化を通じて、地域・産業の「稼ぐ力」を回復・強化する取組と定義されています。

ちいプラで面的DXを実現する「地域共通アプリ」

「ちいプラ」は、宿泊・アクティビティの予約システムです。現状では地域内の交通事業者や飲食店、小売店での利用はカバーしていません。そこで、2023年のなるべく早い時期に「地域共通アプリ」(仮称:ちいプリ)を提供するために設計・開発に取り組んでいます。

この地域共通アプリは、ちいプラの「ポイント機能・決済機能・会員機能」を拡張して、現地での飲食・購買、移動交通サービス等の支払いに活用できるようにするものです。地域共通アプリによってお客様の利便性向上(キャッシュレス化)や面的DXが実現できます。以下のような新しい価値を生み出すことができます。

地域共通アプリが提供する価値

  • キャッシュレス化によるお客様の利便性向上
  • 地域全体の観光関連事業者の面的なデータを獲得できる。→面的データを活用できるようになる
    • 地域を回遊する旅行者の行動を把握できる。
  • 地域全体でお金が循環する。(地域外に流出しない)
    • 行政からの助成(たとえばチャージした金額に10%上乗せ)が全て地域内で消費される
  • 自治体のテコ入れ施策の効果が可視化される。施策に要する資金が地域外に流出しない。

面的DXのイメージ

ちいプラ(予約システム)とちいプリ(決済アプリ)によって実現する面的DXのイメージは以下のようになります。

ちいプラで可能となる面的DXの概念図

参考/より高度なデータ活用基盤

弊社は、データ利活用・マーケティングに強い電通デジタルやブレインパッドにおいて、大企業向けデジタル基盤開発プロジェクトに参画して、オンプレ(SAS)やクラウド(AWS)上に実装した経験を有しています。

大企業では、大量のデータ(データ数の単位は「億」)を様々な観点で迅速に利活用できるように高度なデータ分析基盤を実装しています。それらの構造は大体同じで、下図のように「元データ」→「データレイク」→「データマート」→「BIツールで可視化 or AI/機械学習に活用」という流れです。

データ規模や維持運用料金の観点から、自治体レベルであれば、ExcelやSaaS型CRMシステムで必要十分と思われますが、必要であればご相談ください。

大企業が実装している大規模データ活用基盤

まとめ

本記事では、地域特化型の予約システムと予約システム(会員情報、予約情報、ポイント)と連動したQRコード決済可能な地域共通アプリによって実現できる面的(地域全体の)なデータ利活用について記載しました。

面的なデータ利活用を行うことで、お客様との関係性の維持・発展、より魅力的なプランの造成、データに基づいた観光地経営が可能となります。