観光庁が「地域OTA」構築への積極的な支援を表明

ちいプラ(地域旅行商品販売プラットフォーム)は、地域OTA(地域型OTA、地域版OTA、観光DX)を実現するためのワンストップソリューションです。オンラインでの宿泊予約とアクティビティ予約とその管理に必要な機能を網羅しています。地域の情報発信、予約、決済、データ利活用まで一気通貫にサポートします。

はじめに

2022年9月16日の第1回を皮切りに延べ7回の会合を重ねた観光庁の「観光DX推進のあり方に関する検討会」 の最終取りまとめが発表されました。

その中の「Ⅰ.旅行者の利便性向上・周遊促進」の主な施策に「情報発信・予約・決済機能をシームレスに提供する地域サイト(※)の構築に対する補助事業での積極的な支援」が明記されました。これは弊社が掲げる「地域OTA」サイトのことであり、「ちいプラ」は、これを実現するためのプラットフォーム(本格的な情報システム)です。

(※)宿泊、体験・アクティビティ、飲食に係る情報を掲載しており、そのうち宿泊及び体験・アクティビティについては、サイト内或いは他予約サイトへ遷移した上で予約・決済が可能な状態を指す。

観光DX推進のあり方に関する検討会/最終取りまとめ(概要)/Ⅰ.旅行者の利便性向上・周遊促進 より

特筆すべきは、この「地域サイトの設置」をKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)として、その目標値を「2027年度末に全ての登録DMO」としたことです。

観光DX推進のあり方に関する検討会/最終取りまとめ/Ⅰ.旅行者の利便性向上・周遊促進/5.KPIとロードマップ より抜粋

強制力や罰則規定はありませんが、事実上の「義務付け」と言えると思います。今後は、弊社以外でも地域OTAサイト構築プットフォームを提供するIT企業が出てくると思います。そのような企業様と切磋琢磨することで地域活性化に貢献していければと思います。

観光DX推進のあり方に関する検討会より(概要より抜粋)

観光分野におけるDX推進の意義

冒頭で観光DX推進の意義を観光分野の産業振興にとどまらず「地方創生の切り札」と位置づけたのが目を引きます。観光DXによって「稼ぐ地域を創出」「地域活性化・地蔵可能な経済社会の実現」することを掲げました。各地域には、事業者間・地域間の連携を促す一方で、各地域の特性に応じた創意工夫にも期待・支援する。としています。

観光分野におけるDX推進の意義

  • 人口減少が進む我が国において、国内外との交流を生み出す観光は、地方創生の切り札
  • 観光分野のDXを推進し、旅行者の消費拡大、再来訪促進、観光産業の収益・生産性向上等を図り、稼ぐ地域を創出。
  • 事業者間・地域間のデータ連携の強化により広域で収益の最大化を図ることで、地域活性化・持続可能な経済社会を実現。
  • 観光地・観光産業においては、連携により効果の最大化を図る領域と、地域の特性や地域内の事業者の状況に合わせて個別に創意工夫する領域とを見極めつつ推進することが重要。

課題と具体的な施策とKPI

2ページ目以降では、施策の方向性を以下の4つに分類して、それぞれに「課題」「解決の方向性」「主な施策」を明記しました。さらに各施策の進捗状況を定期的に測定するために「KPI](Key Performance Indicator/重要業績評価指標)を設定しました。以下はそれを表にしたものです。(KPIは後述)

  1. 旅行者の利便性の向上・周遊促進
  2. 観光産業の生産性向上
  3. 観光地経営の高度化
  4. 観光デジタル人材の育成・活用

Ⅰ.旅行者の利便性の向上・周遊促進

#課題解決の方向性主な施策
1オンライン上で旅行者が求める情報の入手が困難適切なウェブサイトへの情報掲載● 地域・観光関係事業者やDMOに対する情報掲載
● 地域サイトの運営体制等の構築に向けた研修を通じた普及啓発
2オンライン上で情報収集・予約・決済に関する手続きの完結が困難シームレスな情報発信・予約・決済が可能な地域サイトの構築● 先進事例の創出とノウハウの展開
● 情報発信/予約・決済機能をシームレスに提供する地域サイトの構築に対する補助事業での積極的な支援
● 情報更新を一元的に管理・更新・配置できる仕組みの検討
3旅行者の現在地や嗜好性に基づくタイムリーなレコメンドが不足その時・その場所・その人に応じたレコメンド● 社会実装に向けた先進事例の創出とノウハウの展開
● 互換性の高い観光アプリ等のデジタルツールに対する補助事業等での積極的な支援

Ⅱ.観光産業の生産性向上

#課題解決の方向性主な施策
1各事業者における売上やコスト、予約・在庫等の管理における業務効率化が進んでいない経営資源の見える化と業務効率化により創出された資源の活用● 地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業において
宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドライン等に基づく登録を集中的に実施
● 経営ガイドラインに登録された宿泊事業者に対するPMS等のデジタルツール導入の積極的な支援
2汎用性・互換性が低いデジタルツールが存在し、事業者間の連携が進んでいない地域単位での事業者間連携● 官民一体で海外動向を意識したデータ仕様の統一化に向けた取組の推進
● 仕様統一されたPMS等の普及推進に向けた補助事業等での支援

Ⅲ.観光地経営の高度化

#課題解決の方向性主な施策
1観光地経営を行うDMO等が、データに基づき観光地経営に関する方針を立てられていないデータに基づいた戦略策定● デジタル化やDXを推進するための要素が盛り込まれた、データに
基づいた経営戦略の策定に向けたDMOに対する研修の実施
● データに基づいた経営戦略のDMOによる策定に対する補助事業
での積極的な支援
2観光地経営を行うための判断材料が、整理・集約されておらず、意思決定に活用されていないCRM等の打ち手と経営状況に関するデータのモニタリング● DMOに対するデータ活用(可視化、分析、施策の検討・実施、
モニタリング)に関する研修の実施
● CRMやDMPを活用した観光地経営の先進事例の創出とノウハウの展開
● CRM・DMP等の導入及びデータ活用に対する補助事業での積極的な支援

Ⅳ.観光デジタル人材の育成・活用

#課題解決の方向性主な施策
1人材登用のための資金が限られていることに加えて、地域におけるDX等のノウハウの蓄積が困難外部専門家の登用及びプロパー人材の採用強化● DMOの経営層向けの研修を通じた観光デジタル人材の育成・活用の重要性等に関する理解促進
● DMOに対する外部専門人材の登用、プロパー人材の新規採用の支援及び自主財源の確保に関する支援
2経営層の人材育成に対する意識不足、人材育成に向けたプログラム不足、教育を受けた人材の処遇が不十分産学連携の抜本強化によるリカレント教育の推進● 教育プログラムの質を確保するため、観光人材育成ガイドラインを策定(不断の検証とブラッシュアップ)
● 登録DMOにおいて主にDX関係業務に従事する者に対して、DXに関する教育プログラムの受講を促進
● 高付加価値経営旅館等の登録を受けた事業者のDX関係業務に従事する者に対して、DXに関する教育プログラムの受講を促進

KPI とロードマップ

最終取りまとめの詳細版では、上述した取り組みの進捗状況を確認するためにKPIとロードマップについても記載しています。それらを表にまとめてみました。元資料では、さらに「算出根拠」「定義」「測定方法」についても記載されています。

施策の方向性課題KPI目標時(2027年度末)
Ⅰ.旅行者の利便性の向上・周遊促進1.オンライン上で旅行者が求める情報の入手が困難
2.オンライン上で情報収集・予約・決済に関する手続きの完結が困難
3.旅行者の現在地や嗜好性に基づくタイムリーなレコメンドが不足
地域全体を包括する情報発信・予約・決済機能をシームレスに提供するサイト(※)を設置している登録DMO の数

(※)宿泊、体験・アクティビティ、飲食に係る情報を掲載しており、そのうち宿泊及び体験・アクティビティについては、サイト内或いは他予約サイトへ遷移した上で予約・決済が可能な状態を指す。
全ての登録DMO
Ⅱ.観光産業の生産性向上1.各事業者における売上やコスト、予約・在庫等の管理における業務効率化が進んでいない
2.汎用性・互換性が低いデジタルツールが存在し、事業者間の連携が進んでいない
高付加価値経営旅館等登録規程に基づく高付加価値経営旅館等(※)の登録数
※ PMS の導入、レベニューマネジメントの実施等が登録要件の一つとなっている。
2,000施設
Ⅲ.観光地経営の高度化1.観光地経営を行うDMO等が、データに基づき観光地経営に関する方針を立てられていない
2.観光地経営を行うための判断材料が、整理・集約されておらず、意思決定に活用されていない
a. デジタル化やDX を推進するための要素が盛り込まれた、データに基づいた経営戦略を策定している登録DMO の数
b. そのうち、CRM・DMP 等を活用している登録DMO の数
a. 全ての登録DMO
b. 90 法人
Ⅳ.観光デジタル人材の育成・活用1.人材登用のための資金が限られていることに加えて、地域におけるDX等のノウハウの蓄積が困難
2.経営層の人材育成に対する意識不足、人材育成に向けたプログラム不足、教育を受けた人材の処遇が不十分
a. 登録DMO において主にDX 関係業務に従事する者のうち、DX に関する教育プログラムを受講した者の割合
b. 高付加価値経営旅館等の登録を受けた事業者のDX 関係業務に従事する者のうち、DX に関する教育プログラムを受講した者の割合
a. 100%
b. 100%
観光庁 観光DX推進のあり方に関する検討会/最終取りまとめ KPIとロードマップより

付録

検討会の委員

この検討会に携わった関係者の名前が末尾に記載されていました。将来的にはこういった場に「地域OTA」を実践している地域のリーダーのみなさまの声をお届けできるようになりたいなぁと思いました。

委員名簿(敬称略・五十音順)(◎:座長)

委  員

井口  智裕           一般社団法人雪国観光圏  代表理事

沢登  次彦           じゃらんリサーチセンター センター長

平林  知高           EY ストラテジー・アンド・コンサルティング(株)パートナー

村山  慶輔           (株)やまとごころ  代表取締役

森川  博之           東京大学大学院工学系研究科  教授

◎  矢ケ崎  紀子         東京女子大学現代教養学部国際社会学科  教授

オブザーバー

内閣官房             デジタル田園都市国家構想実現会議事務局

参事官  中橋  宗一郎デジタル庁               国民向けサービスグループ  参事官  吉田 恭子

中小企業庁           経営支援部  商業課長  古谷野  義之

国土交通省           総合政策局  モビリティサービス推進課長  齋藤  喬国際観光振興機構         企画総室長  平野 達也

日本観光振興協会     理事  内山  尚志

事務局

観光庁観光資源課観光庁内関係課 観光戦略課

観光産業課

参事官(国際関係・観光人材政策)参事官(外客受入)

観光地域振興課

スライドより

観光庁 観光DX推進のあり方に関する検討会/最終取りまとめ(概要) 2ページ
観光庁 観光DX推進のあり方に関する検討会/最終取りまとめ(概要) 3ページ
観光庁 観光DX推進のあり方に関する検討会/最終取りまとめ(概要) 4ページ
観光庁 観光DX推進のあり方に関する検討会/最終取りまとめ(概要) 2ページ

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