大手OTA(国内)の集客力は今も健在?地域OTAのシェアがトップ(48%)って本当?
はじめに
国内の大手OTAといえば、二強の「じゃらんnet(リクルート)」と「楽天トラベル」を筆頭に「Yahooトラベル・一休.com(ともにYahoo)」「るるぶトラベル(JTB)」などが代表的です。地域OTAに懐疑的な人は「大手OTAと渡り合えるはずがない」と主張することがあります。「資金力」「ブランド」「人材(営業、マーケター、データサイエンティスト)」「ポイント経済圏」など、どれ一つをとっても地域が勝てる理由がないということのようです。実際どうなのでしょうか?
事実~シェア一位は地域OTAサイト
ある地域様と協力して「直販強化」の実験を行っています。結果は以下の通りです。(ちいプラに標準搭載している販売チャネル分析機能のスクショです)
シェア一位(43%48%)は「地域OTA」サイトです。
大切なことなので繰り返します。
シェア一位は、「地・域・O・T・A・」サイトです。
ちなみに「楽天トラベル」「一休.com」が12%のシェアがありますが、これはポイント経済圏で鎬を削る楽天とYahooによる破格のキャンペーン(10%還元)によるものです。(2024年3月の実績)
※この図は、ちいプラの標準機能であるデータ分析機能の販売チャネル分析のスクショです。どの事業者様でも無償でご利用できます。詳しくは「マニュアル > データ分析」を参照してください。
2024年7月31日更新
上記宿泊施設の2024年3月1日~2024年7月31日の実績です。さらに地域OTAサイトの予約シェアが上がりました!
大手OTAと渡り合う秘訣は?
申し訳ありませんが、勝ち筋は一般公開できません。ちいプラを使って地域活性化プロジェクトに本気で取り組む地域様だけに共有いたします。
念のため断っておきますと、自治体補助などを利用した「値引き」ではありません。追加の「投資」もありません。よって継続できます。そして全体の売上も下がっていません。どの地域様でもどの宿泊施設様でも実践できる再現性のある方法です。
ただし、既存の常識やスキーム・製品に依存していては実現できません。当たり前のことですが、これまでと同じ考え方で、同じことをやっていれば、同じ結果が出るだけです。将棋でいえばその局面によって最適な打ち手は変化します。時代の変化(ICT技術の進化とICTインフラ利用コストの劇的な低下)がもたらした新たな最適解とは何でしょうか?を考えればおのずとやるべきことが見えてくると思います。
大手OTAはオワコン?
やや余談となりますが言及しておきたいと思います。大手OTAはオワコンなのでしょうか?
弊社の見解は「そのプラットフォームが持つ経済的利得以外の訴求力次第」と考えます。例えば「じゃらんnet」は、まだまだ安泰だと思います。リクルートが誇る優れた編集力(旅行の醍醐味、地域・宿の魅力~歴史・文化、食、ホスピタリティー、こだわり・ナラティブ等~を訴求する紙媒体)があり、さらに優秀なITエンジニアが多くデータ利活用力に優れています。これからも存在感を発揮し続けると思います。実際、楽天や一休(Yahoo)のようにポイントを大盤振る舞いしていないのにシェア22%を占めています。
また、一般には高く評価されていませんが「るるぶトラベル」は運営元のJTBという巨大旅行代理店のブランド・送客力はまだまだ巨大です。客室数が非常に多い場合、特に頼もしい存在です。その関係で「るるぶトラベル」も今後も続くでしょう。高齢者がいなくなると厳しいですが、Agodaなどへのシステム全面刷新(かなり苦労しているようですが)が完了すれば再浮上あるかもしれません。
一方で「楽天トラベル」の先行きは厳しいように感じます。理由は「ポイント」という「旅」の醍醐味や本質とはかけ離れたところでしか訴求できてないからです。しかも豊富な資金を持つYahooが利益度外視で、同じスタイル(ポイント還元)でシェアを奪いにきています。
楽天にしろYahooにしろお客様を「ポイント大盤振る舞いによるお得感」を餌に自社の「決済・ポイント経済圏」に囲い込むしか眼中にない印象をうけます。そこには「人はなぜ旅をするのか?」「何に惹かれるのか?」「宿オーナーのこだわりは?」といった哲学や考察は皆無です。ポイント還元にひかれる(=安いことが何よりも大事)なお客様~いわゆるポイント・モンスター~は受入れ側も求めていないので、先々在庫提供するのは「旅の醍醐味」とは無縁の「利便性・お得」が何よりも重視されるビジネスホテルくらいになるのではないでしょうか。
まとめ
勝ち筋について「におわせ」的な投稿になってしまって申し訳ありませんが、それほど複雑な話でも高度な専門知識を要するようなものではないので、ご自身の頭で考えていただければと思います。
本文に掲載した数字は事実です。大手OTAとは対等以上に渡り合えます。むしろ地域OTAにとって難しいのは自社サイト予約との棲み分けです。自社サイト予約であれば手数料がかからないのですから、地域OTAに手数料を払う「意義」「価値」が厳しく問われることになります。宿泊施設のオーナーは、人生をかけて事業をしています。「地域のため」というフワッとした曖昧な表現ではとても納得してくれません。
次回はそのあたりも述べてみたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
“大手OTA(国内)の集客力は今も健在?地域OTAのシェアがトップ(48%)って本当?” に対して2件のコメントがあります。
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