【事例】地域外企業に丸投げ(4%)していたオンライン販売業務を地域OTAに切り替えることで地域内経済循環・地域内調達率を高めることに成功

はじめに

地域OTAの集客力について「大手OTA(国内)の集客力は今も健在?地域OTAのシェアがトップ(48%)って本当?」で書きましたが、これは地域OTAの一側面であり本質ではありません。地域OTAが目指しているのは「大手OTAにとって代わろう!」ではありません。(もっと言うと、地域OTA導入によってもたらされる情報収集から予約・決済までシームレスに対応できることに伴うお客様の利便性向上、デジタル活用による事業者の業務効率と品質の向上および収益向上も最終的な目的ではありません)

地域OTA導入が目指すところは、古い常識のまま惰性で地域外に流出している「カネ」「データ」を地域を代表する組織に集約して、再投資・利活用することで、好循環を生み出し、稼げる地域、誇れる地域になることです。地域OTA導入は地域活性化プロジェクトなのです。

本記事では、まさにこの第一歩を踏み出したある地域の事例を紹介します。

地域OTA

中部地方のある自治体にある宿泊施設は、地域外の企業(後述)に、オンライン販売業務を委託していました。手数料は、年間売上の4%で、約400万円の支出がありました。(大手OTAでの販売手数料が別に必要です)

オンライン販売業務の委託範囲は一部ではなく全面的なもので要するに「丸投げ」です。オペレーションだけでなく、販売するプランの企画(内容はもちろん価格設定)さえもその企業に提案してもらって、そのまま受入れていたそうです。

手数料も勿体ないですが、最悪なのは、定型的な単純業務だけでなく、付加価値の高いプランの企画・価格設定まで委託してしまっているところです。当然データを分析することもなかったでしょう。

この施設は、事業収益は赤字で、自治体からの指定管理料(要するに税金)を加算してやっと収支トントンという状況が慢性化していました。

地域OTA

ここに、新しい経営者が赴任しました。その経営者は大手の民間企業で責任ある立場を担った凄腕です。高所から指示・命令するだけでなく、現場に密着して、データと突合せながら「無理・ムラ・無駄」を特定して、多くの業務改善を行います。例えば閑散期となる期間は長期休業したり思い切った決断も行い巻いた。業務改善の一環として上述した地域外業者との長期契約(5年)が切れるのを期に、オンライン販売を地域OTAに切り替えるという決断を行いました。

テコ入れ策として、遊休施設を利用して高単価のグランピング施設を新規造成して、広告も積極に投入しました。それらの販売プラットフォームとして地域OTA(ちいプラ)をフル活用しました。地域OTAでは、プランの企画、価格設定、在庫調整、データ分析などすべて自前でやる必要がありますがそれはお手のものでした。地域の魅力を最もよく知る自分たちの頭でプランを考えたほうが魅力的になるのは当然です。責任感や達成感も格段に違ってきます。

これらの無数の打ち手によってわずか1年で万年赤字だった施設の黒字化を果たしたのです。

「地域経済循環」「地域調達率」の向上

ここで見落としてならないのは、個別の宿泊施設の収益向上だけでなく、「地域経済循環」「地域調達率」の向上も達成していることです。

地域外に流出していた、売上手数料400万円の大半は、地域内で再投資されるようになりました。事業者単体の支出そのものはあまり変わっていませんが、地域内に落ちるカネは300万円以上も増えたのです。このような形でDMOに集積された「カネ」が地元のWeb系の専門家の雇用・業務委託に活用されています。まさに地域OTAの好循環がまわりはじめたのです。(その経営者曰く「まだ3合目」とのことです)

これが弊社がちいプラを使って実現して頂きたいことです。

BEFORE/地域OTA導入前AFTER/地域OTA導入後
成約手数料支出400万円350万円
地域外支出400万円35万円
地域内支出(DMOの収入)315万円
※移行促進で手数料を低めに設定
地元のWeb系人材(営業も兼務)への支出200万円
※DMOからの支出の合計

この変化を図示すると以下のようになります。

余談/地域OTA移行前に利用していた企業のビジネスモデル

この企業(Li社)は、業界では評判がよくありません。宿泊施設という、おもてなし産業に従事する方の「おひとがらの良さ(お人よしの側面)」と「IT・ネットリテラシーにうとい(無知・受け身)」ことにつけこんで、以下のような契約をしれっと結ぶからです。

全面的に業務を請け負うのは「親切」だからではなく「無知のままでいてほしい」からです。くれぐれもご注意ください。

  • 静的なWebサイトを50万円で販売(5ページくらい) 予約機能なし
  • 大手OTAへの出品・運営代行業務を4%で請け負う。大手OTAの成約手数料は別途必要
  • 簡単な文言の変更や写真の差し替え、お知らせの追加でさえ有料(2000円とか)
  • 長期契約(5年)で縛る・・・不利な契約に気づいても後の祭り
  • (システム移行時は)ドメイン・コンテンツ・予約データのすべてをクライアントに渡さない

まとめ

地域OTAの目的は「大手OTAにとって代わろう」ではありません。お客様の利便性向上や、事業者や運営法人の業務効率向上・収益向上も達成されますが、それも目的ではありません。目的は「地域活性化」です。

本記事では、ちいプラを活用して、そのビジョンを見事に具現化してくださった事例を紹介しました。参考になれば幸いです