地域OTAという造語の普及度について
弊社は2023年の目標として『「地域OTA」(地域特化型OTA)を一般用語にする』ことを掲げました。数年は要すると考えていたのですが、思ったより早く浸透してきたようです。
これは弊社の造語なので他のサイトでは使われていないです。したがってWeb検索するとトップに表示されます。このクリック率、驚異的です。これが多数の引き合いをいただいている理由だと思います。
なぜ地域OTAという用語を普及させたかったのか?
ちなみに、このような目標を掲げた動機は、何か凄い戦略があったわけではなく、単に「効果的な広告出稿ができなかったから」という現実的なものです。
IT最前線にいる身として「ICTインフラコストの劇的な低下」がもたらす帰結として、遅かれ早かれ「脱OTA」「地域OTAが脚光を浴びる」であろうことは確信してましたし、「ちいプラ」も自信を持っておすすめできるレベルに達しました。
そこで、従来の「地域OTAをやりたい地域・団体が探してくれるのを待つ」というスタイルから、積極的に提案・販売促進していこうと考えました。この時に「広告出稿」掲載を考えました。当時は、現在のような初期費・固定費無料ではなく、初期費として100万円、固定費5万円をいただくモデルでIT導入補助金にも対応していたので十分ペイすると考えたからです。ところが想定外の壁にぶちあたりました。
- 「宿泊予約サイト」「宿泊予約システム」というキーワードだと検索結果のノイズが大きすぎる
- 上記キーワードで検索する人の大半(肌感としては99.9%)は「大手OTA」「自社サイト用予約システム」を探しているので、広告費が無駄になります。しかもレッドオーシャンなサービス・プロダクトなのでやたらと広告単価が高いのも特徴です。
- ノイズを減らすためにキーワードを絞り込みすぎると「検索ボリュームが少なすぎてリスティング広告は掲載不可」になってしまう
Googleのセールスの助言もありディスプレイ広告にも取り組みましたが、結果は芳しくありませんでした。やはりノイズが多すぎて精度をあげようとすると表示されなくなるのです。
しょうがないので、この業界で著名なWEBメディアに「おいくらくらいで出せるでしょうか?例えば100万円だとどれくらいのリーチが見込めるでしょうか?」と問い合わせましたが、無視(返信なし)されました。涙
そこで考えたのは
- リスティング広告を出稿できるように「地域OTA」を一般用語にするしかない!!
- それを実現するために「オウンドメディア」をつくろう!!
ということでした。この判断は間違っていませんでした。間違っていたのは「”地域OTA”というビッグワードで検索一位になるので広告する必要はない」ことに気づいていなかったことです。笑
【余談その1】オウンドメディア効果である「ビッグワードで検索一位になれば広告不要」という事実は、宿泊・アクティビティ予約の販売促進にもそのまま適用できる考え方です。宿泊施設オーナーから「大手OTAへの手数料は広告費と考えれば妥当」という発言をよく聞きますが、時代は変化してます。「常識」を疑ってかかってみてはどうでしょうか?
【余談その2】当方は子育て真っ最中です。幼い息子たちに「消費~例えばゲーム~ばかりしてないで創作しなさい。評論家やコンサルタント・手配師の類になってはいけない。自分で手を動かしなさい。汗をかきなさい。」ということをしつこく説いています。「検索されているキーワードが少なすぎるので広告出稿できないほど新しいことに取り組んでいる」のはその実践と言えなくもないので、ワクワクしています。
「地域OTA」という用語の復旧に貢献したのは観光庁
実は、「地域OTA」という用語が普及することに最も貢献したのは弊社ではなく「観光庁」です。審議会の報告書の中で「地域OTA」が使われたのが大きかったと思います。
観光庁が「地域OTA」構築への積極的な支援を表明 | ちいプラ | 地域OTA基盤
余談となりますが、観光庁の助成金は、みなさん注目しているんだなぁと痛感したのが2023年7月です。この月は「面的DX」関連補助金の申請期限でした。それまで半年に1件くらいだった問い合わせが7件に達して驚いたものです。ちなみに、そのあと、今年の2月になるまでパタッと止まってしまいました。地方衰退の根本的原因である中央からの助成金依存体質(が招く思考停止や受け身体質。古い思考様式~助成金獲得が仕事~にとらわれた高齢者が意思決定を担っている弊害)は根深いなぁと肌で感じます。
まとめ
上記では水を差すようなこと(助成金依存体質)も書きましたが、もちろん観光庁が打ち出している方向性は正しい(=水が高いところから低いところに流れるのと同様にICT技術の進化を踏まえると合理的であり必然)です。
弊社としては「ICT技術・利用コストが大きく変化しました。10年前の常識は非常識です。現在の最適な打ち手はこうですよ。これまでと同じ発想・やり方ではだめですよ。受け身じゃだめですよ。自分で考えないとだめですよ。単年度予算では何もできませんよ。自走するためには自主財源が必要ですよね?」ということを伝えながら地域OTAの普及にまい進してまいりたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。