地域OTAへの参画を宿泊施設に打診するにあたっての考察

宿泊施設には様々な形態があります。ホテル、旅館、民宿、ペンション、コテージ、キャンプ場などです。また規模も100室を超える大規模な施設と自宅兼務の家族経営の民宿まで千差万別です。

オンライン販売や各種情報ツールの活用レベルもまちまちです。大規模な施設には資金力もマーケティングに通じた人材もおり独自の販売促進が可能です。小さい施設では、ホームページを開設していないところもあります。

このような違いは「地域OTA構想」に対する期待や反応に大きく影響します。

当然ですが地域OTAへの参画を打診する際は相手先のニーズや関心を踏まえる必要があります。

この記事では規模のよる宿泊施設のニーズや関心の違いを踏まえて「参画を打診するときに留意すべき観点は?」「より効果的な提案は?」について考察しました。

宿泊施設の規模による違い

宿泊施設の規模の違いによる典型的なデジタルツール活用状況やその特徴を表に整理してみました。この違いを踏まえて考察してみます。

施設の規模感各種OTAで販売
サイトコントローラー
PMS/宿泊管理自社サイト予約大手OTA
への依存度
特徴
中~大規模
導入済

導入済

導入済
大きい・デジタル対応済。
・導入済のITツールを活用した業務ノウハウが確立されている。
・資金・人材があり独自の販促活動が可能
・大手OTA依存度が強く、脱OTAに懐疑的
・自社サイト予約に誘導したい(地域貢献より優先)
小~中規模色々なデジタル利活用レベル。
小規模×
未導入
×
未導入
×
未導入
小さい・地域ブランドへの依存が大きい。
・デジタル未対応(予約機能のないホームページ程度)
・家族経営で客室数も少ない。
・パソコン操作に不慣れ。
・予約は電話で受け入れ。
・オンライン販売に漠然とした不安がある。
・参画当初は厳密な在庫管理が困難
・初期は手厚いサポートが必要

大規模な宿泊施設が地域OTAに抱く印象と参画を打診する際に重要な観点

上述したとおり、大規模な宿泊施設は、独自の販促・ブランディングによる集客が可能なので地域OTA構想にあまり魅力を感じません。そもそも地域ブランドイメージ向上を引っぱってきた自負があります。収益の最大化(=送客手数料削減)の観点で自社サイトでの販売を優先事項と考えています。

また、業務面からは、使い慣れたツールの乗り換えは業務への影響が大きいため困難です。

大手OTA依存度が強く、集客力が不透明な初期の地域OTAサイトには懐疑的ですので、参画に積極的ではありません。

一方で流通額は非常に大きいので理解・協力を得られれば、地域経済循環率の向上への貢献は大きく強力なパートナーになります。

そこで、参画を打診する際は以下のように「力を貸してほしい」という点に重みをおくことになります。

要点訴求方法の例備考
主題「既にビジネスモデルやデジタル化が確立している御社にとっては直近ではメリットは大きくないない~むしろ手間を増やすことになりかねない~が、中長期的に考えてほしい」
「地域活性化のため。力を貸してほしい。一緒に育ててほしい
「中長期的には、地域全体のブランドイメージや集客力の向上で還元する」
直近では旨を強調。
・地域OTAの理念を前面に押し出すことが肝要です。
・現在のやり方が未来永劫続くのか?現在のように価格競争や大手OTA依存したままやっていくのか?という疑問を持っていただくこともできればベストです。
経済条件・当初6か月の手数料無料(この場合、NYANGOも無料にします)
・手数料額に上限を設ける。
・決済手数料率が安い(Visa/Master=1.5%)
「損はさせません」という言い方が肝要。「お得です」という言い方だと反論を招くので避ける

※手数料率を安くしすぎる(例えば2%)にすると地域OTA独自の販促が困難になります。少なくとも5%は設定してください。決済手数料率(Visa/Masterなら1.5%)の優位性も含めて説明してください。
※手数料率を優遇すると他施設と不公正感が生まれるので、流通額に応じて下げる(もしくは天井を設ける)のが有効です。
導入サポート「負担をかけない」「情報の登録は、すべて運営法人側で実施する」ことを強調します。NYANGO側で支援します
運用サポート「負担をかけない」ことを強調します。
在庫、予約情報は自動連動、プランと料金は独自管理(情報更新は運営法人側)
NYANGO側で支援します

小規模な宿泊施設が地域OTAに抱く印象と参画を打診する際に重要な観点

小規模な宿泊施設は、地域OTAといっても何のことかピンときませんので丁寧に説明する必要があります。

もちろん楽天トラベルやじゃらんnet、Booking.comのようなオンライン販売手段があることは認識しており「いつかは、やらないといけないんだろうな」という認識はあります。デジタル化に強い拒否感があるわけではありません。商売は従来からのやり方で回っているし、成約手数料は払いたくないし、パソコンやネットワークに詳しいわけではないので面倒だったり、漠然とした不安があったりで踏み出していない。という程度です。

「いつかは、やらないといけないんだろうな」という認識はあるので、漠然とした不安や面倒くささをとりのぞけば参画に前向きになっていただけます。

このような「デジタル化が進んでいない宿泊施設」が一歩踏み出す時に、ちいプラは以下のメリットがあります。

参画ハードルを下げる機能説明
リクエスト予約・オンライン販売に慣れるまでは厳密な在庫管理が難しいです。繁忙期に電話予約を受け付けた後に在庫を減らしたり売り止めを忘れて、ダブルブッキングしてしまう。という問題は実際に起こります。リクエスト予約であればこの問題は発生しません。
大手OTAはリクエスト予約には対応していないので地域OTA上だけで販売することとなります。
LINE通知予約や問い合わせの通知をLINEで受信できます。問い合わせにはログイン不要で返信できます。
一般的にパソコンに不慣れでもスマホやLINEは使い慣れているので利用が容易です。
頻繁に行う業務のスマホ対応頻繁に行う業務(「在庫調整」や「予約内容確認」)はスマホでも利用可能です。
パソコンに不慣れな人でも対応できます。
そのほかのサポート「「問い合わせが来ているのに見落とす(=苦情に直結)」というあってはいけないこともデジタル対応初期にはよくあります。
問い合わせへの回答がない場合は自動的にリマインドが行われますし、NYANGOによるフォローも提供します。

これによって参画のハードルが低くなります。

こうしてオンライン販売に慣れてきたら、ちいプラではスムーズに次の段階に進むことができます。具体的には以下のようになります。

  • リクエスト予約を即時予約にする
  • 電話予約を
  • 電話予約をちいプラに入力する
    • これによって予約情報の一元管理が実現します!
  • ちいプラ一体型PMS(無料)を活用する
    • これによって紙の宿泊台帳から卒業できます!!
    • 部屋の割り当て、お客様の受け入れ時に必要な宿泊カード、食事の配膳・掃除などの業務管理に利用できる業務シートなど各種帳票に対応しています。
    • データ分析機能も付属
    • 蓄積したデータはCSVでエクスポートできるので会計ソフトとの連動も可能です

参画を打診する際に重要な観点

蒸気を踏まえて以下のような打診の仕方が好ましいと思います。

要点訴求方法の例備考
主題地域OTA構想によって地域内経済循環率を高めてその資金を地域ブランド向上に再投資する。これによって地域全体の集客力が向上する。
力を貸していただきたい。
直近では旨を強調。
・地域OTAの理念を前面に押し出すことが肝要です。
・現在のやり方が未来永劫続くのか?現在のように価格競争や大手OTA依存したままやっていくのか?という疑問を持っていただくこともできればベストです。
経済条件・当初6か月の手数料無料。
・手数料額に上限を設ける。
・クレジットカードの決済手数料率が安い(Visa/Master=1.5%)
「損はさせません」という言い方が肝要。「お得です」という言い方だと反論を招くので避ける

※手数料率を安くしすぎる(例えば2%)にすると地域OTA独自の販促が困難になります。少なくとも5%は設定してください。決済手数料率(Visa/Masterなら1.5%)の優位性も含めて説明してください。
※手数料率を優遇すると他施設と不公正感が生まれるので、流通額に応じて下げる(もしくは天井を設ける)のが有効です。
導入サポート「負担をかけない」「情報の登録は、すべて運営法人側で実施する」ことを強調します。NYANGO側で支援します
運用サポート「負担をかけない」ことを強調します。
在庫、予約情報は自動連動、プランと料金は独自管理(情報更新は運営法人側)
NYANGO側で支援します
  • ちいプラは、はじめてオンライン販売に参画する人にやさしい。段階的に導入できるので無理なくステップアップしていける。
  • 極めて安価に導入できる
  • サポートも手厚い

小規模施設が地域OTAに参画してくれることの価値とは?

きわめて重要です。大規模施設と比較すると流通額は小さいですが、地元の小規模施設が元気であることは地域の魅力を高めることに欠かせません。「100億円企業が1つの地域」と「1億円企業が100ある地域」では、どちらが活気があるでしょうか?どちらが多様で魅力に富んでいるでしょうか?

IT革命・クラウドの進展により大きな資金や組織を持たない個人・小企業ができることが拡大しました(NYANGOもその1つです)。これからの地方に必要なのは、昭和型の重厚長大企業の誘致ではなく、そこで暮らす人々がそれぞれの興味関心のあるフィールドで、個性を発揮して活躍することではないでしょうか?

それが、その地域の魅力に直結すると考えます。

宿泊施設様への説明代行

上述したような説明や宿泊施設からの疑問に回答するのが難しいと感じられるかもしれません。その場合は、弊社コンサルタントが対応いたしますのでお申しつけください。

まとめ

この記事では、宿泊施設の規模による典型的な違いを踏まえて考察してみました。両極端な例について記載したので、大半の宿はこの中間に位置するので、なにかしら参考にしていただけるのではないかと思います。お役に立てば幸いです。