地域OTAの成長性、現在の成熟度に関する考察
ちいプラ(地域旅行商品販売プラットフォーム)は、地域OTA(地域型OTA、地域版OTA、観光DX)を実現するためのワンストップソリューションです。オンラインでの宿泊予約とアクティビティ予約とその管理に必要な機能を網羅しています。地域の情報発信、予約、決済、データ利活用まで一気通貫にサポートします。
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はじめに
観光庁が「地域創生の切り札」として、地域OTA(宿泊・アクティビティの情報発信・予約・決済機能)の設置を登録DMOに実質的に義務付け(=2027年度までに100%)したことによって、弊社への問い合わせが増えています。
これは、地域OTA基盤システムである「ちいプラ」を有する弊社にとっては追い風ですが、一方で不安もあります。それは「お金が出るから」と安易な考えて地域OTAの導入を検討している地域が増えてきているからです。
また、「エモーショナルな地域OTAのイメージ図」を掲載して、導入実績はもちろん現時点で存在するのかも疑わしいシステムを宣伝しているITベンダーもあります。
これらの現状を踏まえて、地域OTAの成熟度、現状、今後の見通しをガートナーの「ハイプ・サイクル」にあてはめて考察してみました。
地域OTAの成熟度と現在地をハイプ・サイクルで考える
現在地/過度な期待のピークに向かって爆走中
現在は「過度な期待のピーク」に向かって爆走中と考えられます。
きっかけは、前述したとおり観光庁が地域OTAの設置を実質的に義務付けたことがきっかけです。この方向性は間違っていないと思います。弊社も「地域OTA」は地方創生に欠かせないポテンシャルの高い取り組みと考えています。
問題は、助成金・補助金目当てのITベンダーと安易な発想の自治体の悪魔合体です。
地域OTAは、単なるデジタル化ではありません。オフィスにWordやExcel、グループウェアを入れて効率化。という安直な話ではありません。「多数のステークホルダーが関わる地域活性化の一大プロジェクト」です。「ちいプラ」のような情報システム・ITツールは必須ですが、十分ではありません。その概念や目指すところを関係者がしっかりと理解して、中長期的に汗をかいていく必要があります。
幻滅期へ(2026年頃~)
弊社は、多数のITプロジェクトに従事してきました。この経験からプロジェクトの成否を決定づける要因を理解しています。助成金・補助金目当てのITベンダーと安易な発想の自治体では100%失敗すると断言できます。
ピークとなるのは、いつ頃でしょうか?
弊社の予想では、観光庁が2027年度末に100%と掲げたので、その前年の2016年頃までは現在の「過度な期待」が続くと思います。
「補助金目当ての安易な考えのITベンダーと自治体」により、弊社が「エセOTA」と呼ぶ、ゾンビな地域OTAサイトが量産されると思われます。誰の目にも失敗が明らかになるのは設置から3年くらいでしょう。
ただし、行政がやることに「失敗」はありません。それなりに成果が出ているように「作文」してごまかすか、他に「責任転嫁」するかのどちらかです。「そもそも地域OTAというコンセプトに無理があった」と総括して地域OTAサイトを閉鎖する自治体が出てくると思います。これに乗じて地域OTAに脅威を感じる大手OTAがその主張を後押しするでしょう。こうして幻滅期に突入します。
啓発・安定期へ(2028年頃~)
幻滅期は長くは続かないと思います。今も黙々と取り組んでいる地域の成功事例が取り上げられて、その細部にスポットがあてられて、成功要件が明らかになります。これによって、地に足のついた「本物の地域OTA」サイトが定着するようになります。