地域OTAの新規受付を一時停止(再開予定:2026年11月1日)

はじめに

(発表日:2025年10月21日)2026年11月1日まで新規の地域OTA受付を一時停止いたしましたのでお知らせいたします。背景・理由は以下の通りです。

受付一時停止の背景

ちいプラは、2016年3月に最初の地域OTAサイト(みなたび/宮城県南三陸町)としてスタートしました。それから10年が経過しました。

その過程で、いわゆる「負の遺産」(廃れてしまったライブラリ、時間に追われてやや雑な実装になっている処理等)が少なからず存在します。また当時は想像もできなかった「AI革命」がまさにはじまったところです。負の遺産を解消して、次の10年間の進化にスムーズに対応するために「リファクタリング」を実施します。

また新規導入対応に忙殺されて先送りしていた機能強化・改良にも対応します。


対応完了後は、現在よりもさらに数段上のシステムをご案内できます。地域OTA(地域特化型OTA、エリアOTA、シームレスサイト)の導入を検討しておられる地域様におかれましては、後述する「準備」をしておいていただけるとよいかと思います。

ご理解のほどよろしくお願いいたします。

新規受付停止の狙い

弊社は同業他社の追随を許さない圧倒的な開発生産性(機能改良履歴を参照)を誇ります。そのプロダクトである「ちいプラ」は、類似の地域OTA(地域特化型OTA、エリアOTA)の中でもかなり高機能(かつ安価)と自負しています。この状況に満足することなくさらなる向上をはかります。

陳腐化したコードの廃止

ちいプラが開発に着手したのは2015年10月です。この記事を書いているのは2025年10月20日ですので、ちょうど10年が経過しました。当時は最適・先進的だったテクノロジーが陳腐化してしまったものがあります。(代表的なものでいえばjQueryです)

保守性の向上

また開発スピードを優先して、やや可読性の低いコードになっている箇所(負の遺産)もあります。これらを刷新します。専門的には「リファクタリング」といいます。

また、ちいプラのコードは、サーバーサイド、クライアントサイドだけでなく、マイクロサービス、外部APIなどいろいろと分散しています。この配置も最適化します。

実行環境の最適化

また、実行環境は、AWS(Amazon Web Servies)をフル活用していますが、一部のサービス(例えばストレージ、エグレス(=データOUT)、CDN)については、より費用対効果に優れた他社のサービスが登場しています。

生成AIへの対応

また10年前には想像もできなかった変化があります。「生成AI」の登場です。

例えば、AI検索では「当事者が発信する高品質な一次情報が優遇」されるようになります。(これにより「SEO/MEO、アフィリエイト、広告」といった従来の集客手段が廃れます)。地域OTAでは、多くのデータ(予約、顧客、問い合わせ、口コミ、事業者情報、プラン情報)を地域が保有できます。これらの蓄積データをAPIや任意形式のCSV出力(例.予約CSV)などにより再利用しやすくします。AIエージェントが好むAPI(例えばOpenAIのAgentic Commerce Protocol)への対応もすすめます。

データ分析も大きく変わります。高価なデータ分析基盤やBIツールは不要となります。データをExcelGoogle SpreadSheetに取り込めば、分析も可視化も生成AIが実行します。(そもそも本当にデータ利活用している人は、現在でもBIツールからExcelにデータをダウンロードして分析しています)

自動化

さらにソフトウェア開発プロセスの自動化(E2Eテスト、デプロイ)も強化します。

機能強化

さらに新規導入に追われて先送りしてきた以下のような機能の強化・改良をはかります。

  • OTA一体型PMS
  • OTA一体型自社サイト用予約エンジン
  • AIエージェント対応
  • CRM対応・・・分析・セグメンテーション、クーポン発行、メルマガ配信(効果測定)、顧客ランク等
  • 多言語化・・・現在は日・英・繁体字ですが、簡体字、韓国語、フランス語に対応します。
  • テストの自動化範囲の拡大

以上です。上述したようなことを、着手している業務の完了後(2025年4月を予定)、半年間をかけてこれらに取り組んでいきます。

地域OTAを検討中の地域様へ

代替製品について

観光庁が「地域OTA推し」するまでは、ちいプラとTXJさんしかありませんでしたが、現在は多くのベンダーが「地域OTA」(地域特化型OTA、エリアOTA、シームレスサイト)対応をうたった製品を出しています。例えば以下のプロダクトはクライアントから比較検討対象(=当該企業から営業されている)としてよく聞きます。

導入時に留意いただきたいこと

地域OTA導入にあたって「補助金・助成金」を活用することは避けることを推奨します。

理由は複数あります。

1つ目は、補助金を利用して導入すると「役に立たない」ことがわかってもズルズルと3年も5年も使い続ける必要があるからです。さらに補助金で高額なサービスを導入しても「収益化」できてなければ維持できません。弊社やTXJさん、プランメーカーさんのように「完全成功報酬型(初期費・固定費なし、成約額に対する手数料のみ)」のプランを提供しているサービスを選択してください。

2つ目は、少なくない地域OTAベンダーが「古くからある自社サイト用宿泊予約エンジン」を拡張して地域OTA対応とうたっています。こういったプロダクトには注意してください。これらは「古いやりかた」(楽天・じゃらん・自社サイトで販売、サイトコントローラ使って、PMS使って)に最適化されています。このような方法論に過度に最適化してしまうことはAI時代に出遅れることを意味します。

【永久保存版】自社サイト用予約エンジンを流用して地域OTA風サイトを構築する際に留意すべき点(システム選定用チェックリスト付き) |

現在進行中のAI革命によってデジタル化の最適解がガラっと変わってきます。例えばAI検索です。AI検索の登場によりこれまでのSEO/MEO、アフィリエイト、広告といった「集客手段」が抜本的に変わります。(これから重要なのは一次情報です)。助成金を使ってサービス導入してズルズルと使っていると、このような大きな変化に迅速に適応できません。

よく言われることですが「未来を予測することはできない。できるのは変化にすばやく適応すること」です。助成金でサービス導入すると「すばやさ」を失うリスクがあります。変化の激しい時代、そこで失う「数年」という時間は、取り返しのつかない致命的な失敗となる可能性があります。くれぐれも慎重にご判断ください。

また、ここ最近は「AI対応をうたった高額なサービス(例.AIチャット、周遊ルート構築、リコメンド)」を助成金で導入している例が多く見受けられますが、エンジニア目線で率直に申し上げると「陳腐」なものばかりです。今後、続々と無償レベルのより高機能・高品質なサービスが出てくるのが確実です。助成金を使っているとそれを横目にみながら微妙なサービスを使い続ける必要があります。

過去にも繰り返されてきたことですが「流行期」には有象無象の業者が乱立します。玉石混交ですが、大半は石っころです。(弊社を含めて)業者の主張をうのみにすることなく「目利き」するようにご留意ください。(原則として製品を内製していないところは避けるのが無難です。【理由】AI革命による劇的な生産性向上の恩恵を受けられるのは内製ベンダーだけであるため。内製していない会社の製品は「遅い、まずい、高い」に該当する可能性が高いです)

余談

NYANGOには、地域OTAに関して一般には公開されない多くの情報が集まってきます。

その中には、観光庁の作文ではあたかも「成功事例」のように扱われている一方で、何ら具体的な成果がでていなかったり、現地(当該導入法人を含む)ではまったく評価されていない(=「また、税金泥棒やってるよ。」としらけている)ものが少なくありません。
助成金は、ある種の麻薬です。助成金にどっぷりと依存してしまった地域では、助成金を獲得し続けるために(地元で評価されていない)「成功を捏造作文」して、観光庁(のお抱えコンサル)が海外から仕入れてくる「トレンド・シナリオ」にそって「作文」したりという「成果を出すことと無関係」の業務に膨大な時間をさいています。観光庁のほうばかり向いていて、お客様も事業者も視界に入っていません。そんな姿勢で成果をだせるはずがありません。

ゴマ

NYANGOには地域OTAに関する多くの情報が集まってくるにゃ。

ハナ

助成金は、自立をさまたげる麻薬にゃ。依存しないように注意ニャ!

トイレ改修とかスポットのハードウェア改修の助成金はよいぞ

地域OTA導入前に準備すべきこと

「地域OTA」で目指すビジョンを明確化にして、関係者の「地域OTA導入」の機運を高めることが重要です。

地域OTAシステムの導入はゴールではありません。単にスタートラインにたっただけです。どの地域でも実現できるので差別化要因にはなりません。

地域OTAは収益事業の立ち上げです。非営利の箱モノ(例.図書館建設、トイレ改修)や単なる業務効率向上のためのデジタル化(例.オフィスにグループウェア導入)とは難易度が格段に異なります。「独立採算で黒字にできる道の駅をつくる」と同等かそれ以上と言えばイメージできるでしょうか?

であるにもかかわらず観光庁が助成するようになってからは、流行に敏感で作文が得意なコンサルの口車にのって、安易に地域OTAサイトが粗製濫造されているのが現状です。弊社はまもなく「地域OTA幻滅期」を迎えることを確実視しています。

「地域OTAやってます」が「あたりまえ」になる日~まもなく幻滅期?

地域OTAを成功させるために、地域OTAシステムの導入は必須ですが十分ではありません。では、十分要件(成功要件)は何でしょうか?たった1つです。

参画事業者地域OTAファーストで取り組んでくれること』です。

単純ですが実現するのは容易ではありません。(ダイエットと似ていますね)

宿泊施設、アクティビティ提供者ともに「知名度も資金力も人材もいる大手OTA」に加えて「手数料無料の自社サイト予約」という選択肢があります。そのような状況で地域OTAファーストになっていただくのは簡単ではありません。当然ですが、資金力では大手OTAに勝てません。使途自由の自主財源がなければ臨機応変に市場のニーズの変化には対応できないので手数料無料もできません。

大手より手数料が安いので参画してください」は、地域OTAの失敗に直結する典型的なアンチパターンです。(初年度限定なら可)

「経済条件」以外で選ばれる必要があります。

もちろん「地域のために!」「地域創生!!」というフワッとした掛け声だけでは全くたりません。

地域経済循環の向上がなぜ重要なのか?といったところからはじまって、AI時代はデータが決定的に重要になることを理解して、地域ブランド(認知度、好感度)が向上すると何が期待できるのか?ブランド向上のために何が必要なのか?次の世代(50年、100年後)に何を残したいのか?KPIとして何が適切なのか?

といったことを徹底的に関係者で議論して具現化してください。

目指すところ(ビジョン)を明確にして、その有力な手段として地域OTAを位置づけることが重要です。

そのビジョンを事業者、住民と対話を通して磨き上げてください。その過程で自然と地域OTA導入の機運が醸造されていくはずです。

受付再開後について

標準パッケージの提供は、契約締結とドメイン取得と弊社への管理委託が終われば3日で提供可能です。詳しくは「導入フロー | ちいプラマニュアル」を参照してください。

まとめ

  • 2026年11月1日まで新規の地域OTA受付を一時停止いたします。
  • 地域OTAを導入する地域様への代替手段(他社システム)を掲載しました。その際の留意点も掲載しました。
  • 「ちいプラ」を使いたい地域様には、来年11月までに取り組める「準備」をご案内いたしました。

引き続きよろしくお願いいたします。